バルフレアが女の人と歩いてた―

別におかしなことでも無いし
気に留める方がどうかしてるのかも


塞ぎがちの気持ちに追い討ちをかける様に
陽は傾きやがて闇に変わっていった



be jealous




、ねぇったら聞いてる?」

「・・え?あ、何?アーシェ」

「さっきから何回も言ってるのに」

「ごめんね」

「それより何かあったの?あなたのそんな姿珍しいから」

「ただ寝不足なだけ」

「そう、ならいいけど。じゃあ私出かけるわ」

「もう夜だから気をつけてね」

「大丈夫よ、バルフレア達も一緒だから」

「そっか、、、いってらっしゃい」


どうしたものか。
きっとあの言い方なら全員に違いない。

つまり愚痴を聞いてくれる相手は今夜はいないという事―





「することが無いなら寝てしまうに限る」


そうしてお風呂場入りながらも頭の中はさっきの事で一杯で
考えたところで変っていくのは自分の思い込みという部分だけ




「アツぃ・・・・・・・のぼせた」

バスタオル1枚で身体を覆い
そのままベッドに腰かけて一人で晩酌
どのみちこんな状況じゃ普通には寝ないだろうし


「バルフレアが悪いのよ」

元はと言えばあっちが私に嫉妬させるような行為をするから、
抑制も出来ずに飲み続けてそのまま眠りについてしまったんだ




コンコン―



「起きてるか?」

「ん、、、、どうしたの?」



突然ドア越しに声を掛けられ
寝ぼけた声で返す
手に持ったままのグラスにはまだ氷が浮かんでいた



「急で悪いが、少しいいか?」

「ええ、大丈夫よ」


返事を返し終わってから気づいた自分の姿


「っつーっと待って、ダメ入っちゃ!!」

「何だよ」

「服着てないから入ってこないでっ」

「・・・どうゆう意味だ、それ」


突然バルフレアの声が低くなる


「??どうゆう事」

「クソッタレが・・・」

「何怒ってるの?訳わかんない」

「そういう事は解らない様にやれよ」

「はい?・・え・・」


明らかに勘違いしてる
間違いない、どう考えたってそうだ
いつも余裕あるバルフレアが
こんなこと言い出すなんて想像もつかなかった



「私が誰かと一緒だったって、そうゆう事?」

「―知るかよ」

「バルフレア待って!」


去ろうとする彼を何とか捕まえて
ドアに身体を隠しながら腕を掴んでもう一度聞く

「そう思った?」

「さぁな」

「寂しかったのよ、・・・だから」

「・・・」

「一人で寂しくお風呂入って一人で酔い潰れてたの」

「は?」

「疑い晴れたかしら」


ちらりと顔を覗かせ首を傾げる


「ホントよ、皆出掛けてしまったんだもの」

「淋しいなら俺を呼べよ」

「居ない人をどうやって呼ぶの?」

「教えてやろうか?」


近寄る顔、囁く声


「さっきまで拗ねてたのよ私」

「ついでに機嫌も良くしてやるさ」

「もちろんよ。ちょっと待ってて」


そう言ってドアを閉め着替えをしながらクスリと笑ってしまったのは
あのバルフレアが勘違いとはいえ感情を露にしたのだ。



この後、何気なく流れで聞いた話によれば昼間の女性は道を尋ねていただけらしい。

それを聞いたからといってもはやどうでもいい事で。
今、バルフレアが自分の目の前に居るのだから。

紛れも無く彼の瞳には●が映っている―
今はそれだけで充分だった。